まとめ
- 2023年3月18日(土)にコロナ禍における新しい生活スタイルや働き方の浸透、鉄道の利用シーンの変化によるお客様の利用動向を踏まえた、ダイヤ改正を実施する。(公式)
- ダイヤ改正の目的は、混雑や道路混雑による列車遅延の影響を抑えるためと、利用者の動向を踏まえたダイヤにすること。(公式)
12分間隔から14分間隔へ
- 早朝深夜の時間帯を除き、12分間隔から14分間隔で運転を行なう。(公式)
- 間隔の変更は1952年(昭和27年)以来71年ぶり。(読売)
- 江ノ電はこれまで、深夜・早朝を除き12分間隔で走っていたので、時刻表はどの時間帯を見ても同じ数字が並び、わかりやすくなっていた。しかし、14分間隔になることで時刻表はバラバラになる。(NTV)
約15%の減少
混雑による列車遅延
- 混雑による遅延の他、腰越併用軌道区間(路面区間)での道路混雑を起因とした列車遅延も多々発生しており、単線運行であることから、1列車の遅延が全列車の遅延へと波及し、遅延発生時には、定時運行に回復するまでに時間がかかる。駅停車時分を見直すことで、遅延発生の場合においても回復力のあるダイヤとし、安定輸送の確保を図る。(公式)
- 始発や終点の駅での折り返し運転をする際に、2分の余裕を持たせ、これまでギリギリだった乗客の乗り降りや、乗務員の入れ替えを確実に行い、列車の遅延を防ぐ狙いがある。(NTV)
- 江ノ島電鉄「混雑による遅延の発生でお客様にご迷惑をおかけしてきましたが、ダイヤ改正で定時運転の確保が見込まれるので、ご理解とご協力をお願いできればと思います」(NHK)
新しい生活スタイルによる乗客減少
- 新型コロナウイルス感染症拡大後、新しい生活スタイルや働き方の浸透により、鉄道の利用シーンは変化したため、利用者のご利用動向に合わせたダイヤに改正する。(公式)
- 江ノ電は観光客を中心とした定期外旅客に支えられてきた。2019年度の実績では、定期旅客人員が620万4000人だったのに対し、定期外旅客人員は1251万人と倍を占めていた。(Merkmal)
- 鎌倉市の統計によると、江ノ電鎌倉駅の乗降客数は、コロナ禍前の1007万人(2018年度)に対し、コロナ禍では半分以下の488万人(2020年度)にまで落ち込んだ。(Merkmal)
- 鎌倉市の統計によると、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度の江ノ電鎌倉駅乗降客数は944万3568人だったが、20年度は488万7531人と半数近くに減少。新たな生活スタイルや働き方の浸透にも配慮する。(読売)
- 鎌倉市の松尾崇市長は「間隔が分かりやすかった分、残念な思いもある」コロナ禍前の観光客の増加や日常的な路面区間の渋滞も考慮し、「現実的には定時運行が難しくなっていた。定時性、安全性の確保のための決断を尊重する」と受け止める。(読売)
- 藤沢市観光課の担当者は「需要と供給からの判断だろう。今後も状況を見極めて効率的なダイヤを検討するのではないか」(読売)
利用者の声
- 「『12分間隔・1時間に5本』というのは、本当に体に染みついていると言ってもいいぐらいのリズム・パターンなので、生活のリズムがずれちゃうと」と戸惑いを隠せない。(NTV)
- 時刻表見たことある?「ないです」(NTV)
- 「7時とか8時とかぴったりの時は『7えの』とか『8えの』って呼んでた」(NTV)
- 「14分空いてくれたら、『コーヒー1杯飲んでいこうかな』と思ってもらえる可能性は少し上がるかなと」(NTV)
- 電車の音を目覚まし時計のように聞いている知人もいる。(読売)
- 近年は混雑や周辺道路の渋滞が、電車の運行に影響していたことも知っており、「定時運行や安全面を考えると仕方がないか……」。(読売)
- 「登下校時は超満員なのに、本数が減ってもっと混むのはつらい。学校でも話題になっている」
- 「江ノ電の藤沢駅なら朝6時から夜8時まで、発車時刻は正時から12分ごと、0、12、24、36、48分という具合です。覚えやすいから時刻表を持ったり、見たりする必要はない。そうなると朝の通学時間帯、小田急の藤沢に着いた時間で、江ノ電まで走るか、歩くかが決められる。それが便利だったのに......」(サンデー毎日)
- 「ここら辺は12分間隔で動いている」(サンデー毎日)
- 「規則的だった時間がズレちゃって分からなくなる」(スポニチ)
- 「『自分が生まれた時からずっと綺麗なパターンダイヤ』だった江ノ電が遂に変わるのか…」(スポニチ)
- 「江ノ電は12分間隔だからちょうど5本出ると60分になってわかりやすかったのに14分間隔とか時刻表がずれてわかりづらくなるやん…これは正直改悪と言わざるを得ないかなあ…」(スポニチ)
- 「江ノ電のダイヤって覚えやすかったけどコロナ前は平日でもいつも遅れてて毎日ランダムな時間に電車が来る時もあったからな…」(スポニチ)
- 「物心ついた時からずっと体が覚えていたんですけど、どうしましょうって感じです。」(FNN)
- 「時刻表を見ながら行くしかない。みんなたぶん暗記してるので。」(FNN)
- 「“7えの"とか“8えの"とか、クラスで集合時間を決めていた」(FNN)
- 「15分間隔にすれば“8えの"ルールが使えるのに」(FNN)
- 「本数が減って(乗車時間が)伸びるんですね。藤沢までも時々乗るので、結構長いんですよ。」(FNN)
「もし」の世界
- 江ノ島電鉄「今後の生活スタイルはコロナ禍前の水準には戻らないと考えていますが、お客さまのご利用動向や社会情勢を考慮して検討する場合があります」(サンデー毎日)
- JRや大手私鉄の主要路線も減便ダイヤを復調させる動きがある。江ノ電の利用者数も回復するかもしれない。しかし、路面区間の現状を見ると、12分間隔には戻れそうもない。(ITmedia)
- もし江ノ電が「利用者にとって分かりやすい時刻表」を優先するならば、運行間隔は15分間隔になる。藤沢駅発車時刻は00分、15分、30分、45分で、これで日中を統一できる。ただし、12分ダイヤに比べて2割の削減だ。ここまで運行本数を減らすと利用者の需要に応えられない。分かりやすさと輸送量を天秤にかけて輸送量を取った。(ITmedia)
- せめて13分20秒間隔、40分サイクルで2時間パターンにしてくれないかなあ。(Twitter)
せめて13分20秒間隔、40分サイクルで2時間パターンにしてくれないかなあ。20年前ぐらいまでは集札や精算もやってて、さらに昔はタブレット扱いまでして12分間隔だったのに。#江ノ電 #ダイヤ #減便 pic.twitter.com/oMOiGGv1iz
— 葛西暢人 (@KasaiNobuhito) 2023年3月30日
江ノ電公式
ダイヤ改正の実施について
2023.04.08
2023年3月18日(土) 江ノ島電鉄線がダイヤ改正を実施します
江ノ島電鉄株式会社では、コロナ禍における新しい生活スタイルや働き方の浸透、鉄道の利用シーンの変化によるお客様のご利用動向を踏まえ、2023年3月18日(土)にダイヤ改正を実施します。
改正日時
2023年3月18日(土)初電より
改正の概要
1.12分間隔から14分間隔に改正します
早朝深夜の時間帯を除き、14分間隔で運転を行ないます。時間ごとの発車時間は異なりますが、時間あたり4本~5本の運転本数がございます。
目的
1.定時運行を確保します
当社では、混雑による遅延の他、腰越併用軌道区間(路面区間)での道路混雑を起因とした列車遅延も多々発生しており、単線運行であることから、1列車の遅延が全列車の遅延へと波及し、遅延発生時には、定時運行に回復するまでに時間がかかります。
今般、駅停車時分を見直すことで、遅延発生の場合においても回復力のあるダイヤとし、安定輸送の確保を図ります。
2.お客様のご利用動向を踏まえたダイヤになります
新型コロナウイルス感染症拡大後、新しい生活スタイルや働き方の浸透により、鉄道の利用シーンは変化しました。お客様のご利用動向に合わせたダイヤに改正します。
詳細な時刻について
ダイヤ改正後の時刻表は各駅掲出の時刻表またはこちらをご確認ください。
鉄道部
TEL 0466-24-2713(平日9:00~17:00)
日テレNEWS
江ノ電ダイヤ改正へ 地元住民“困惑”染みついた12分間隔71年ぶり変更
youtu.be鎌倉から藤沢までをつなぐ「江ノ島電鉄」の運転間隔が71年ぶりに変わります。これまで12分間隔で走っていた電車を、3月18日から本数を減らし、14分間隔で運行することを発表したのです。地元の人からは、「生活のリズムがずれる」など困惑の声が上がっています。ダイヤ改正の狙いは…?
◇
街中や海沿いを走り、沿線には日本屈指の観光エリアが…。鎌倉から藤沢までをつなぐ「江ノ島電鉄」、通称“江ノ電”がこの春から変わります。
江ノ島電鉄・総務部 阿由葉圭介総務課長
「ダイヤ改正をいたします」これまで12分間隔で走っていた電車を、3月18日から本数を減らし、14分間隔で運行することを発表したのです。12分間隔でなくなるのは、71年ぶりです。
江ノ島電鉄・総務部 阿由葉圭介総務課長
「駅での停車時間を見直すことで、回復力を持たせるダイヤに改正します」始発や終点の駅での折り返し運転をする際に、2分の余裕を持たせ、これまでギリギリだった乗客の乗り降りや、乗務員の入れ替えを確実に行い、列車の遅延を防ぐ狙いがあるといいます。
その一方で、江ノ電はこれまで、深夜・早朝を除き12分間隔で走っていたので、時刻表はどの時間帯を見ても同じ数字が並び、わかりやすくなっていました。しかし、14分間隔になることで時刻表はバラバラになります。
50年以上、江の島周辺で生活する「丸だい」二見将幸店主は、「『12分間隔・1時間に5本』というのは、本当に体に染みついていると言ってもいいぐらいのリズム・パターンなので、生活のリズムがずれちゃうと」と戸惑いを隠せません。
江ノ電を利用する高校生
「藤沢駅でぴったり、いつも12・24・48と刻まれていたんですけど、それが14分間隔なんで」――時刻表見たことある?
江ノ電を利用する高校生
「ないです」12分間隔で運行する江ノ電に、“ある共通の呼び方”をしていたという高校生もいました。
高校生
「LINEとかでも、『じゃあ明日は、みんな8えので』とか」
「7時とか8時とかぴったりの時は『7えの』とか『8えの』って呼んでた」藤沢駅から乗る場合、現在の12分間隔だと、毎時間0分ぴったりに電車が出発します。その電車を、例えば7時だったら「7えの」、8時だったら「8えの」と呼んでいたといいます。
高校生
「なくなると考えたら結構、不便なのかなと」◇◇◇
駅前のカフェでも、困惑の声が上がっています。
IMOS cafestand 川島純司店長
「お客さんに乗れる電車の時刻が、前まですんなり言えていたのを、もう1回覚え直さないといけない」ただ、「12分間隔」から「14分間隔」に変わることで、ちょっとした期待もあるようです。
IMOS cafestand 川島純司店長
「14分空いてくれたら、『コーヒー1杯飲んでいこうかな』と思ってもらえる可能性は少し上がるかなと」◇
沿線の飲食店でも、期待の声が上がっています。客席の目の前を走る江ノ電が魅力の店「ヨリドコロ」では、江ノ電を利用してくる予約客が多く、遅延してしまうと、たびたび混乱してしまっていたといいます。
ヨリドコロ 西口瑞季さん
「今回、それ(遅延)を解消するためのダイヤ改正ということなので、いいふうにつながっていくのかなと」江ノ島電鉄は「地元の住民や観光でお越しのみなさまに、安心してご利用いただける鉄道を目指していく」としています。
読売新聞
「江ノ電」71年ぶりダイヤ改正、「12分」間隔から「14分」に…歴史的変更に戸惑いも
神奈川県藤沢市と鎌倉市を結び、住民や観光客の交通手段として欠かせない江ノ島電鉄(藤沢市片瀬海岸)が3月18日のダイヤ改正で、早朝と深夜帯を除いて運転間隔を「12分」から「14分」とする。間隔の変更は1952年(昭和27年)以来71年ぶり。多発する運行遅れの改善などが目的とされるなか、長年の利用者は理解を示しながらも歴史的な変更に戸惑いを隠せない。(津村浩、川崎大輝)
- 「慣れるまで時間」
「沿線住民には12分間隔が染み込み、時刻表を見なくても出発時刻を分かっていた。慣れるまでに時間がかかってしまう」
藤沢市観光協会で副会長を務め、江の島で土産店を営む二見将幸さん(54)は語る。電車の音を目覚まし時計のように聞いている知人もいる。ただ、近年は混雑や周辺道路の渋滞が、電車の運行に影響していたことも知っており、「定時運行や安全面を考えると仕方がないか……」と加えた。
藤沢駅を利用し、鎌倉高へ通う1年の男子生徒(16)は「登下校時は超満員なのに、本数が減ってもっと混むのはつらい。学校でも話題になっている」と心配しつつ、「わずか2分だけど大きな違い。8時ちょうどの電車を『8エノ』と暗号みたいに呼んでいたのにできない」と惜しむ。沿線には七里ガ浜高、鵠沼高など学校も多い。
江ノ電の発表によると、日中は1時間に5本運行してきたが、変更後は4、5本となる。1日の運行も181本から15%ほど減って154本。藤沢から鎌倉まで15駅を34分ほどで結んでいるが、所要時間は37分に増える。
単線運行のため、混雑や江ノ島―腰越駅の路面区間の道路事情で遅延が発生すると、1便の遅れが全体に影響してしまう。回復力を高め、安定輸送の確保を図る狙いがある。
- コロナで客数半減
一方、鎌倉市の統計によると、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度の江ノ電鎌倉駅乗降客数は944万3568人だったが、20年度は488万7531人と半数近くに減少。新たな生活スタイルや働き方の浸透にも配慮する。
市内に9駅があり、観光や通勤通学の動脈となっている鎌倉市の松尾崇市長は「間隔が分かりやすかった分、残念な思いもある」と語る。コロナ禍前の観光客の増加や日常的な路面区間の渋滞も考慮し、「現実的には定時運行が難しくなっていた。定時性、安全性の確保のための決断を尊重する」と受け止める。
藤沢市観光課の担当者は「需要と供給からの判断だろう。今後も状況を見極めて効率的なダイヤを検討するのではないか」とみる。
Merkmal
江ノ電が71年ぶりの「ダイヤ改正」に踏み切ったワケ 発車時刻は「12分間隔 → 14分」で苦情出ないのか
江ノ島電鉄が3月18日にダイヤ改正を実施する。「71年ぶり」の大規模な変更の背景を探る。
12分間隔→14分間隔に
神奈川県の藤沢市と鎌倉市を結び、多くの観光客に利用されている江ノ島電鉄(江ノ電)が、3月18日にダイヤ改正を実施する。運転間隔を従来の12分から14分に拡大するもので、同社によれば「71年ぶり」の大規模な変更だ。鎌倉や江の島など、沿線に豊富な観光地を抱え、内外から多くの利用者が訪れる江ノ電。観光鉄道の代表選手に、何があったのか。「わずか2分」の間隔拡大ながら、そこにはコロナ禍に伴う需要の急減に直面した鉄道業界の苦境が凝縮されている。今度のダイヤ改正の主眼は、発車の間隔を広げ、運行本数を減らすことにある。起点の藤沢駅の時刻で見ると、改正前の86本に対し、改正後は75本と12%ほどの削減となる。コロナ禍に伴う終電時刻の繰り上げは2021年に実施しているので、今回は初電、終電の時刻に大きな変更はない。藤沢発でいえば、初電は5時36分発で変わらず。終電も改正前は23時40分、改正後は同42分とほぼ同じである。
だが、沿線住民にとっては、本数削減以上のインパクトを与えている。これまでの12分おきのダイヤが、毎時の発車時刻が同じで覚えやすかったのに対し、14分おきになることで覚えにくくなってしまうからだ。
例えば、これまでの藤沢、鎌倉両駅の発車時刻は、毎時0分、12分、24分、36分、48分の繰り返しで、単純明快だった。それが改正後になると、8時10分、24分、38分、52分、9時6分、20分、34分、48分…のように、まちまちになってしまうわけだ。「待たずに乗れる」という以上に、沿線住民に浸透しきっていた「記憶に染みついたダイヤ」。それを手放してまで、ダイヤ改正に踏み切る鉄道会社側の事情とは、どこにあるのか。
- 路面走行区間がネック
江ノ島電鉄が運行間隔拡大の理由として挙げたのは、列車遅延の「回復力」である。
江ノ電は全区間が単線で、途中5カ所の駅・信号場で列車の行き違いを行っている。従って、1本の列車が遅れてしまうと、反対方向の列車も待たされてしまい、遅れが全線に波及・増幅してしまう難点がある。中でもボトルネックは、江ノ島~腰越間にある併用軌道だ。
江ノ電は専用の線路を持つ一般の鉄道だが、この1駅間に限っては、道路上を路面電車のように走るのである。観光客にとって見どころである一方、運転の上では「難所」だ。渋滞が頻発する海岸線の国道134号を避けようとする車が入り交じり、昼間は交通量が多い。特に週末は、江ノ電の「路面走行」に慣れないドライバーも多いことから、不測の事態も起きやすい。安全のため電車が最徐行、あるいは急停止することが常態化しているのだ。
- コロナ禍で乗降客が半減
しかしながら、混雑が激しいのであれば、増発や増結といった対応もあり得ただろう。ここに、今回のダイヤ改正に対する江ノ電の苦心がうかがえる。
もともと、江ノ電は観光客を中心とした定期外旅客に支えられてきた。2019年度の実績では、定期旅客人員が620万4000人だったのに対し、定期外旅客人員は1251万人と倍を占めていた。この構図が、コロナ禍によって大きく変わってしまった。
江ノ電は詳細な統計を出していないが、鎌倉市の統計によると、江ノ電鎌倉駅の乗降客数は、コロナ禍前の1007万人(2018年度)に対し、コロナ禍では半分以下の488万人(2020年度)にまで落ち込んだ。極めて大きな打撃である。
こうした状況を踏まえ、江ノ電は2022年9月に鵠沼(くげぬま)、極楽寺の2駅を、駅員が終日不在の無人駅にした。1日の乗降客数は、極楽寺こそ約1800人と多くはないが、鵠沼は藤沢市郊外の閑静な住宅地で、1日当たり約4300人(15駅中8位)を数える。それでも踏み切られた無人化に、固定費の削減を推し進める江ノ電の実情がうかがえる。
ダイヤ改正によって約12%の列車本数が削減されれば、少ない車両数で運行を賄うことができるし、各車両の走行距離が低減することで老朽化を遅らせることもできる。
江ノ電といえば、1960年に登場した旧型車両「300形」が、今も代表的な車両として、メディアや広告に数多く登場する。緑とクリームのツートンに塗られた姿はどこか懐かしく、昭和の鉄道を思い起こさせる。とはいえ、それ以外の車両が新しいわけではない。
最も数の多い「1000形」のグループは登場から35年~40年以上も経過しているし、最新の「500形」も、登場から既に15年以上が経過した。延命工事を施しながら使用しているとはいえ、近い将来、相当数の車両の取り換えを検討しなければならない。
愛嬌(あいきょう)ある小柄な車両が、年間1800万人もの人々を運んできた観光鉄道の代表選手、江ノ電。沿線に多くの観光地を持つ恵まれた経営環境にあっても、コロナ禍や人口減少、そしてインフラの老朽化という、鉄道事業者が共通して直面する課題からは逃れられないのである。
サンデー毎日
交通 「江ノ電」が71年も守ってきた「12分間隔」ダイヤ変更のワケ
神奈川・湘南の藤沢―鎌倉の10㌔を走る江ノ島電鉄(本社・神奈川県藤沢市)が3月18日から、「12分間隔」から「14分間隔」にダイヤを変える。JR東海道線・小田急江ノ島線の藤沢駅と、JR横須賀線の鎌倉駅を結ぶ通称「江ノ電」は、上りも下りも12分ごとに各駅にやってきていた。それが約14分ごとになると、各時きれいに5本が並んでいた時刻表の数字も不ぞろいになる。
「江ノ電の藤沢駅なら朝6時から夜8時まで、発車時刻は正時から12分ごと、0、12、24、36、48分という具合です。覚えやすいから時刻表を持ったり、見たりする必要はない。そうなると朝の通学時間帯、小田急の藤沢に着いた時間で、江ノ電まで走るか、歩くかが決められる。それが便利だったのに......」
こう力説するのは、沿線の高校に通った男性会社員だ。沿線に住んで十数年になる群馬県出身の女性も「ここら辺は12分間隔で動いている」。ともに江ノ電利用者に共通の思いだろう。
江ノ電は江の島や鎌倉大仏など観光路線でもある。黒澤明監督の映画「天国と地獄」(1963年)、日本テレビ系ドラマ「俺たちの朝」(76年)をはじめ、映像作品にもしばしば登場する。映画も大ヒット中の漫画『スラムダンク』には、鎌倉高校前駅付近が登場しており、「アニメの聖地」として人気だ。訪れる海外からの訪日観光客も多い。レトロ調の車両や海沿いの風景そのものが観光目的の一つとなっている。
12分間隔ダイヤも「名物」といえた。全線が単線の江ノ電は駅で上り列車と下り列車を行き違う必要がある。列車の性能をそろえ、行き違う駅を等間隔に配置しないと、上下とも1時間5本の高頻度運転はできない。
全15駅のうち、行き違い可能駅は鵠沼、江ノ島、稲村ケ崎、長谷の4駅。そこに、かつて駅だった峰ケ原信号場の行き違い設備を残し、全て駅で12分間隔になるダイヤを作った。これが1952年で71年間にわたり、12分間隔ダイヤを維持してきた。
新しい14分間隔ダイヤは1日に上下154本の列車を運行する。12分間隔ダイヤでは上下181本で27本の減便となる。江ノ島電鉄は「コロナ禍でリモートワーク、リモート授業が浸透し、鉄道の利用実態が変化しました」としている。また、「路面電車」となる腰越駅付近の道路供用区間の混雑で遅延も多いため藤沢、江ノ島、稲村ケ崎、鎌倉の各駅で列車の停車時間を増やし、ダイヤにゆとりを持たせたという。
「今後の生活スタイルはコロナ禍前の水準には戻らないと考えていますが、お客さまのご利用動向や社会情勢を考慮して検討する場合があります」(江ノ島電鉄)
同社も悔しいはず。71年間も先達が維持してきたダイヤを崩すのだから。ただ、新ダイヤでも必要な車両数は変わらないという。車両が減らない限り12分ダイヤに戻れる。そこに希望をつなぎたい。
(杉山淳一)
スポニチ
江ノ電71年ぶりダイヤ改正に地元住民らSNS騒然「う、嘘だろ…」「わかりづらくなる」
[ 2023年1月18日 18:54 ]江ノ島電鉄(江ノ電)は18日、2023年3月18日初電からダイヤ改正を実施すると発表した。江ノ電のダイヤ改正は1952年以来71年ぶり。これまでの12分間隔が14分間隔になる。
この発表を受け、地元住民や観光客から驚きの声がSNSに続々と上がった。これまで12分間隔(深夜および早朝の時間帯を除く)で運行されていたため、たとえば日中の鎌倉駅時刻表は00分、12分、24分、36分、48分と一定していたが、14分間隔になると時間帯によってバラバラに。地元住民は最寄り駅の時刻表をいちいち調べなくともそれぞれ頭に入っているのが当たり前の生活だったため、ツイッターには「まさか変わるのめっちゃびっくりしました」「規則的だった時間がズレちゃって分からなくなる」「『自分が生まれた時からずっと綺麗なパターンダイヤ』だった江ノ電が遂に変わるのか…」「江ノ電は12分間隔だからちょうど5本出ると60分になってわかりやすかったのに14分間隔とか時刻表がずれてわかりづらくなるやん…これは正直改悪と言わざるを得ないかなあ…」「う、嘘だろ…江ノ電の12分間隔ダイヤが崩れるというのか…?」「江ノ電のダイヤって覚えやすかったけどコロナ前は平日でもいつも遅れてて毎日ランダムな時間に電車が来る時もあったからな…」などと様々な声が上がっていた。
FNNプライムオンライン(イット!)
江ノ電ダイヤが71年ぶり改正「“8えの”ルール使えなくなる」と住民困惑 運行間隔12分から14分に…停車時間も見直し
2023年1月25日 水曜 午後5:40
神奈川県の鎌倉市と藤沢市と結ぶ江ノ島電鉄。通称「江ノ電」。そのダイヤが71年ぶり改正されることになり、利用する住民たちから、困惑の声が上がっている。
江ノ島電鉄のダイヤが71年ぶりに改正へ
70代女性:
あー知らない、それは知らない。まだ十分には知られていないダイヤの改正。利用者が心配するのは、体に染みついたダイヤが変わり、生活リズムが乱れてしまうこと。
「どうしましょうって感じです」
60代女性:
物心ついた時からずっと体が覚えていたんですけど、どうしましょうって感じです。60代女性:
時刻表を見ながら行くしかない。みんなたぶん暗記してるので。3月18日からのダイヤ改正では、各列車の運行間隔がこれまでの12分から14分に変わる(深夜・早朝を除く)。
鎌倉駅に掲示されている時刻表は、数字がきれいに揃っていて覚えやすい。
SNSではこんな声も上がっていた。
「“7えの”とか“8えの”とか、クラスで集合時間を決めていた」「15分間隔にすれば“8えの”ルールが使えるのに」
8時00分発の電車を“8えの”などと呼ぶ、ローカルルールが成立しなくなることを残念がる声。
そもそも、なぜ今回、71年ぶりにダイヤを改定をすることになったのか?
江ノ島電鉄 阿由葉圭介総務課長:
ダイヤに余裕を持たせて、遅延させないということを目的に改定させていただく。新型コロナの影響で、乗客が減少したことも背景にあるという。
30代女性:
本数が減って(乗車時間が)伸びるんですね。藤沢までも時々乗るので、結構長いんですよ。また駅への停車時間も見直され、鎌倉駅から藤沢駅に向かう場合の乗車時間が、34分から37分へ。
「ほとんどのお客さまには関わってこないのではないか」
江ノ島電鉄 阿由葉圭介総務課長:
通勤でご利用される主なお客さまが、途中の駅からお乗りになりますので、ほとんどのお客さまには関わってこないのではないか。江ノ島電鉄は、乗車時間に関する影響は少ないとみている。
(「イット!」1月24日放送)
NHK
「江ノ電」がダイヤ改正 大規模は71年ぶり 神奈川県
2023年3月18日 13時39分
神奈川県藤沢市と鎌倉市を走る江ノ島電鉄は定時の運行を確保しようと、18日からダイヤの改正を行いました。大規模なダイヤの改正は71年ぶりだということです。江ノ島電鉄によりますと、今回のダイヤ改正によって、これまで12分間隔だった列車の運行は14分間隔に変更され、1日の列車の本数は181本から154本に減るということです。
江ノ島駅では17日夜、終電の運行が終わると、時刻表を新しいものに取り替えたり、列車の位置情報が分かるQRコードを設置したりして準備を進めていました。
江ノ島電鉄は単線のため、一部の列車の遅延がほかの列車にも影響しますが、今回のダイヤ改正によって鎌倉駅や江ノ島駅などでの停車時間を延ばすことで全体への影響を抑えて定時の運行が確保できるとしています。
大規模なダイヤの改正は71年ぶりだということです。
江ノ島電鉄鉄道部運輸課の福原健二課長補佐は「混雑による遅延の発生でお客様にご迷惑をおかけしてきましたが、ダイヤ改正で定時運転の確保が見込まれるので、ご理解とご協力をお願いできればと思います」と話していました。
ITmedia ビジネスオンライン
杉山淳一の「週刊鉄道経済」
2023年04月07日 08時30分 公開
江ノ電の名物「12分ダイヤ」はなぜ終了したのか 70年も続いたのに
「江ノ電」は、神奈川県の藤沢市と鎌倉市にまたがって走る電車だ。沿線には鎌倉大仏の高徳院、あじさい寺の明月院など、鎌倉時代からの由緒ある寺が多い。そして観光地・江ノ島がある。それだけではなく、にぎわいから少し離れた海沿いの車窓も素晴らしいし、短いながらも路面電車のような併用軌道区間もある。ここは鉄道ファンではなくともワクワクすると思う。
沿線は何度も映画やドラマのロケ地になっていて、江ノ電の知名度は全国区だ。いや、いまや国際観光地でもある。鎌倉高校前駅付近の踏切はアニメ『スラムダンク』の踏切として海外からファンが集まる。
路面電車サイズの電車が2両または4両連結で走るところもかわいいし、鎌倉の風景に似合っている。江ノ島や鎌倉を訪れた人なら、誰もが江ノ電を見ているし、ほとんどの人が乗っているはず。なぜなら、海岸沿いの国道134号線が常に渋滞しており、江ノ電を使った方が目的地に早く着くからだ。ゆえに地域の人々にとっても生活に重要な路線だ。
その江ノ電の名物の1つに「12分ダイヤ」があった。江ノ電に乗った人はお気付きだろうか。起点の藤沢駅の発車時刻が毎時00分、12分、24分、36分、48分だった。これが6時台から21時台半ばまで続く。鎌倉駅も同じ。駅の時刻表が、まるで観光地のケーブルカーのように同じ数字がズラリと並んでいる。ラッシュ時も昼下がりの閑散時間帯も同じ。
途中駅ではさすがに00分、12分……とはならないけれど、5つの数字を覚えることには変わらない。例えば江ノ島駅から鎌倉方面は毎時11分、23分、35分、47分、59分だ。これが6時から21時台半ばまで同じ。鎌倉高校前駅から藤沢方面は毎時06分、18分、30分、42分、54分になっていた。知人によると、鎌倉高校の生徒なら誰でも暗唱できたそうだ。
早朝深夜は別として、利用する駅の5つ数字を覚えていれば、いつでも「発車時刻まであと10分あるからトイレに寄ろう」とか「あと2分で発車する電車に間に合わない。次の電車にしよう。駅までゆっくり歩こう」と判断できた。
江ノ電がいつからこの時刻表を使っているか。実は1952年(昭和27年)からずっとこのまま。70年以上も変わらなかった。
2023年3月18日のダイヤ改正で、その伝統が終わった。江ノ電は14分間隔になった。きっちり14分おきだけど数字はバラバラになった。これが江ノ電利用者で話題となった。日常的に江ノ電に乗る人々にとって、江ノ電の発車時刻は生活のリズムだ。江ノ島や鎌倉の人々は12分単位で生活しているとはいい過ぎか。しかし、そのくらいの冗談は通じるくらい浸透していた。
12分間隔から14分間隔へ、たかが2分、されど2分。この2分のおかげで、発車時刻を覚えづらくなってしまった。現在、藤沢駅の発車時刻は、6時台から04分、18分、32分、46分、7時台は00分、14分、28分、42分、56分だ。14分間隔にすると、毎時同じにはならない。7時台と同じ時刻に戻るのは14時。7時間サイクルでやっと元に戻る。
- 理由は「コロナ禍の乗客減」と「併用軌道」
70年間も維持し、地元の人々に「そうあるもの」と親しまれていたダイヤが変わる。利用者は戸惑うし、残念に思っただろう。しかし、それ以上に江ノ電で働く人々自身が悔しさを感じているはずだ。長い間の慣習を変えるには勇気がいる。それも自社の都合ではなく、外的要因だ。1つは「コロナ禍による利用客減少」、もう1つは「ダイヤ維持の限界」である。
「コロナ禍」については説明の必要もない。通勤、通学、買物、旅行、あらゆる移動需要が減った。もちろん鉄道の利用も減った。江ノ電は東京の通勤圏にある。そして勤務先から遠いほどリモートワークを選択する傾向がある。通学では自転車、生活移動ではマイカーに、密を避ける手段へシフトした。
鉄道会社としては、運賃収入が減るならば、経営努力として乗客を増やすか、経費を削減する。コロナ禍で前者の施策は取りづらい。そうなると経費削減、すなわち減便、あるいは減車となる。
減便は列車の運行本数を間引くこと。減車は列車の車両編成数を減らすこと。江ノ電は減便を選択した。というのも、2両編成が1単位。混雑時は2つ合わせて4両で運転している。大手私鉄のような10両編成を8両に減車すれば2割減だけど、4両を2両にしたら5割減。いくら何でも減らしすぎだ。そこで減便策となった。12分間隔ダイヤで1日当たり181本の列車が、14分間隔ダイヤでは154本になった。約15%の減少で、利用者数の低下とバランスを取った。
「ダイヤ維持の限界」は、もっと深刻な問題ともいえる。実はコロナ禍以前から江ノ電を悩ませてきた問題だ。せっかくキッチリと12分ダイヤを設定したけれども、ダイヤ通りの運行が難しくなっていた。
観光シーズンの乗客集中によって、乗降時間が増えて列車が遅れる。コロナ禍以前、大型連休中に乗車待ちの長い列ができて、1時間待ちとなる日もあったという。まるで遊園地の乗りもの並みの混雑だ。沿線住民も同じ列に並ぶと生活に支障が出る。そこで18年と19年には「沿線住民優先乗車」の社会実験が行われた。鎌倉市が発行する沿線住民証明書を提示すれば、駅の外の行列に並ばなくても駅に入れる。皮肉にも20年はコロナ禍となり、行列は消えた。
もう1つ、江ノ電を悩ませてきた場所が併用軌道だ。江ノ島駅と腰越駅の間、約500メートルが鉄道と道路の併用区間。路面電車のように走るところである。単線の線路の両側に1車線ぶんの道路がある。しかしこの区間は商店街だ。2月の平日、日中に観察してみると、各店で積み降ろしする自家用自動車がちょっと停まる。それを避けようとする自動車や自転車、バイクが線路にはみ出す。電車は進路をふさがれる。この街の人々だけなら譲り合いの習慣もあるし、共存共栄の範囲で収まる。しかし宅配便の普及で小型トラックなどが増えた。緑ナンバーのトラックは行儀良くコインパーキングなどを使っている。しかし、その他のクルマの通行量も増えている。昔は自動車が小さかった。今や多くの乗用車が3ナンバーだ。幅が広い。
この地域の主な道路は海沿いの国道134号線だ。日中は渋滞している。そして次の大通りがこの併用軌道だ。ただ通過するだけの自動車も少なくない。ドライバーも気を使って電車に道を譲るけれども、交通整理は難しい。神戸橋交差点で右折しようとした自動車が、後続の電車に気付いて右に寄せて譲ったけれど、それでも線路にはみ出していた。ドライバーが電車が動けないと察して先に右折するまで、電車は停まったままだ。
江ノ電は全線単線で、途中の駅などで上下の電車が行き違う。だから、ある電車が遅れると、その電車と行き違う予定の電車も遅れる。駅などで行き違う電車の到着を待たなくてはいけないからだ。当然、その電車も遅れる。そしてその電車と行き違う別の電車も……というふうに、遅れはどんどん波及する。
だから、カッチリと組んだ12分間隔よりも、余裕を持たせた14分間隔として、遅れを見込んでゆとりを持たせた。それが今回のダイヤ改正というわけだ。
- 15分ダイヤではダメだった?
12分間隔のダイヤは江ノ電の隠れた伝統といえる。時刻表ファンの私も見事だと思っていた。単線で、複数の駅がありながら、上下線ともピッタリ12分間隔を維持できる。複数の行き違い場所を適切に配置してこそ実現できたダイヤだ。こんな路線は珍しい。
その象徴的な場所が「峰ヶ原信号場」だ。ここは駅ではない。列車が停車する場所「停車場」のうち、客や貨物の扱いがあると「駅」。客の乗降も貨物扱いもなく運転上に必要な停車場が「信号場」となる。
江ノ電に乗った人なら「駅でもないのに電車が停まって、しばらくしたら反対側から電車が来て、すれ違った」と覚えているかもしれない。駅にしたら近所の人々は喜びそうだ。しかし客の乗降を扱うと停車時間が延びてしまう。この停車場は運行時間の調整役だから信号場のままだ。
峰ヶ原信号場のおかげで江ノ電は等間隔運転が可能になっている。これをダイヤグラムに描き起こしてみた。実際は先にダイヤグラムをつくり、それを時刻表に翻訳する。今回はその逆をやってみたわけだ。結果はご覧の通り、まるで整った網のようになっている。このようなダイヤを「ネットダイヤ」と呼ぶ。単線路線の運行のお手本のようなダイヤだ。ダイヤに芸術性は求められないけれど、私は日本で最も美しい単線ダイヤだと思う。いや、何にせよ機能を追求すれば美しい姿になるものだ。
他社の通勤路線と違って、江ノ電は朝ラッシュ時、夕方ラッシュ時の増便はない。というより、ネットダイヤはすべてのすれ違い設備を使うので、もう増便できる余地がない。そこで江ノ電は、乗客の多い時間帯は「増車」した。2両編成を2つつないで4両編成で運行する。これで輸送量は2倍になる。
私が子どもの頃は朝夕だけが4両編成だったと記憶しているけれども、現在は当時に比べて乗客が多いため、日中のすべての電車が4両編成である。実際、私が訪れた平日昼過ぎの電車も満席、吊り手もほぼ埋まる混み具合だった。利用者数は回復しはじめたように思えた。
もし江ノ電が「利用者にとって分かりやすい時刻表」を優先するならば、運行間隔をもう1分あけると15分間隔になる。藤沢駅発車時刻は00分、15分、30分、45分で、これで日中を統一できる。ただし、12分ダイヤに比べて2割の削減だ。ここまで運行本数を減らすと利用者の需要に応えられない。分かりやすさと輸送量を天秤にかけて輸送量を取った。14分間隔ダイヤはギリギリのせめぎ合いの中で生まれた苦心のダイヤだ。ところで、東京メトロは3月30日に「4月29日から銀座線を増発する」と発表した。日中の運行間隔を5分から4分にする。JRや大手私鉄の主要路線も減便ダイヤを復調させる動きがある。江ノ電の利用者数も回復するかもしれない。しかし、路面区間の現状を見ると、12分間隔には戻れそうもない。せめて自動車に対して「許可車両のみ通行可」としたいところだ。これは街ぐるみの合意が必要不可欠だ。
江ノ電は「今後の生活スタイルは、コロナ禍前の水準には戻らないと考えておりますが、ご利用動向や社会情勢を考慮し、検討する場合がございます」という。良い方向で検討する場合は、ぜひ沿線の人々や行政も応援してほしい。江ノ電は「減便しても車両数は減らさない」という。まだ元に戻せる段階だ。12分ダイヤの復活を期待しよう。