…転々…

極楽寺4号踏切以外のこと

江ノ電の初乗りが250円になって、305Fが廃車になるかもしれない件。

結論を言え

  • のりおりくんの値上げ幅から、江ノ電の初乗り運賃が250円になってもおかしくない
  • なんなら、のりおりくんが約123%値上げしたことを考えると、もっと値上げしてもおかしくない
  • 運賃の値上げが予告された時点で305Fは引退するよ

普通旅客運賃の値上げはあり得るか

日本の鉄道各社が、コロナ禍における乗客急激な減少や安全対策の設備投資のために、普通旅客運賃を値上げしようとする動きがあるのは皆さん承知のことだろう。
江ノ電は一日乗車券「のりおりくん」が150円・約123%も値上げした。運賃改定の理由について、「さらなる利便性の向上ならびに魅力ある提携施設の提供、また宣伝展開を図ることで、沿線周遊乗車券としての付加価値を高めたい」としているが、あの会社がそんな器用なことをできるわけがない。素直にコロナ禍における観光客減少が原因だと言って欲しい。
江ノ電はいまのところ普通旅客運賃を値上げはしていない。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大を契機としたリモートワーク等の「新しい生活様式」が定着し、乗客が減少傾向にあるのは江ノ電も同じらしい。特に沿線住民の所得が高いため、新しい生活様式が他路線と比較して根付いているとも考えられ、普通旅客運賃の値上げは避けられないだろう。
小児運賃についても値上げは避けられないだろう。親会社である小田急ICカードでのこども運賃を一律50円としたことで話題になったが、系列会社である箱根登山鉄道ではそういった動きはなく、おとな運賃の値上げに引っ張られる形になった。

のりおりくんと普通旅客運賃の関係

普通旅客運賃に比べて、のりおりくんがあまりに高くなりすぎてしまった。

のりおりくんと普通旅客運賃の比較

消費税が5%の時代は全線を往復するだけで元が取れた。
消費税が10%になってからは普通旅客運賃よりのりおりくんのほうが値上げ幅が大きかったため、全線を往復するだけでは元が取れなくなった。その代わり、江ノ電の定番ルートである「鎌倉→長谷→江ノ島→鎌倉」では70円お得になっていた。
しかし、今年の4月にのりおりくんが800円に値上げしたことにより、定番ルートでも元が取れなくなり、事実上4回以上乗車しないと元が取れない状態になっている。提携施設を利用したときの割引を考慮しても、個人的には現時点でのりおりくんを購入するメリットは皆無であると考える。

日本の鉄道各社の値上げ幅を江ノ電に当てはめる

現時点で値上げ幅がはっきり表明されている、JR以外の民鉄3社を取り上げる。

運賃改定を表明した各社の値上げ幅と、それが江ノ電に適用された場合の普通旅客運賃

東急は1円単位のIC運賃と、10円単位のきっぷの運賃があるが、IC運賃のほうが値上げ幅が大きい。値上げの特筆する理由としては、東急新横浜線の開通や定期券の減収率が関東大手民鉄で最大であることなどが挙げられている。
近鉄は、元々利用者数の減少が関西で最も大きく、旅客運輸収入が1996年度から2018年度に、約4分の3まで落ち込んでいたことが大きな背景のようで、東急より値上げ幅が大きい。
箱根登山鉄道は、特に2018年に発生した台風の災害復旧工事でダメージをくらった。元々運賃が高めに設定されていることから、3社の中では最も値上げ幅が大きい。
各社の値上げ幅を当てはめてみると、なんとなく現実味を帯びた数字が浮かんでくるだろう。藤沢~鎌倉370円とはなかなか強気な値段だが、箱根登山鉄道基準で当てはめるとそうなってしまう。

ただ、値上げは悪いことばかりではない。各社が説明する通り増益分は安全性や利便性の向上に使用されるほか、特筆すべきは新型車両導入である。
近鉄では、新型車両が発表されると聞けば特急車ばかりでがっかりするというのが定番だったが、このたび一般車の新型車両の導入が決まった。
箱根登山鉄道は既存車両の車両更新、東急は目黒線の8両化など、車両の動きがある。
つまり、江ノ電で値上げが表明された暁には、2015年に導入される予定だった新車両新造計画が進行し、2019年8月に廃車予定だったとされる305Fの置き換えや、吊り掛け車両4編成の車体更新または置き換えがあってもまったくおかしい話ではない。

のりおりくんと値上げ後の運賃を比較する

のりおりくんと比較することによって、前項の値上げ幅は生ぬるいことがわかる。

江ノ電に各社の値上げ幅を加えた運賃とのりおりくんとの差額

東急レベルの値上げでは定番ルートで元は取れない。
現段階で具体的な値上げ後の運賃を提示している厳しい各社の運賃増加率をもってしてでも、全線を往復するだけで元が取れた時代には戻れないのだ。
のりおりくんの値上げがいかに異常だったかがおわかりいただけただろうか。

江ノ電の運賃を値上げしてみる

3パターンを用意してみた。

Aパターン


前述の3社の平均値を四捨五入した値を入れてみた。定番ルートで元が取れ、最も納得できる値上げパターンといえる。
江ノ電は、江の島内でいかに観光客に消費行動をさせるかに力を入れているそうですが、今後島内でのりおりくんで魅力ある提携施設の提供や、沿線周遊乗車券としての付加価値が高められなくても、納得できるお値段設定。

Bパターン


江ノ電の最混雑区間、長谷~鎌倉駅間は1.7キロ。通勤も短距離利用が多いことから、それらを重視し、一律50円の値上げを行ったパターン。
ディズニーリゾートライナーも1乗車260円だし、観光客にとってアトラクション的な値段としては適正な値段かもしれない。案外あり得るのではないかと思っている。

Cパターン


のりおりくんで全線を往復するだけで元が取れた時代に戻るにはこのぐらいの値上げが必要。
さすがにこうはならんやろ……


注:この記事はただの妄想です。